小児科研修・2

この日曜日私は朝9時から夕方5時まで、小児科研修をさせていただいた。私の研修先の国立国際医療研究センター病院は小児科医が20名も在籍する小児医療の充実ぶりだ。だから、小児の3次救急医療機関でもある。その日曜日の当直ぶりを見学させていただいた。

 

日曜日だが、小児科だけではなく内科、外科の当直がいるために、患者さんがひっきりなしに来院する。当直を担当するのは若いレジデントのスタッフと、さらに若い研修医だ。たった二人で朝8時半から夜8時半までの外来と病棟業務をこなす。

 

私は足手まといになるのではないかとハラハラしながら、見学させてもらっていた。

 

小児救急医療はある意味在宅医療から最も離れた医療分野でもある。

それだけ私にとって新鮮で、驚きの数々である。

 

疾患も異なれば、背景も異なる。

だから問診も異なれば、診察の仕方、採血など検査の組み立て方、治療の仕方などすべてが異なっているからだ。

 

まったく研修医以下の動きしかできない。

私は、時間が過ぎるのも忘れて、若い二人の一人一人の患者さんの対応に目を見張る。

 

ほかに頼ることができないから、二人がお互いの動きを見ながら、瞬時に自分の動きを決めていく。「先生が外来で問診や診察している間に、私は病棟に上がります。」

彼らは意識していないだろうが、彼らの動きには神々しささえある。

 

彼らの使命感こそが素晴らしい。

 

現場を担っている。自分たちが支えになっているという感覚。

必死になって走り回っている。迷ってもいる。悩んでもいる。そして

現場感覚をもって仕事ができるためには、どういう要因が必要なのだろうか?

 

 

私が見学している間に、9人の小児が受診して、3人が入院になった。

 

最後にレジデントの先生が申し訳なさそうに言う。

「本当にバタバタしていて、きちんとお話しできずにすいませんでした。」

申し訳ないのは、私のほうなのに・・・