セブンか?三越か?

当院では、隔週に一度症例検討会が行われている。医師や看護師、理学療法士や言語聴覚士、ケアマネや渉外担当者などが集まり、おもに困難だった事例や課題を感じたことなどについて討議をする場だ。

どういう支えが大切だったのか?今後の支えはどうすべきか?などとみんなで討議するうちに、新たな気づきや、新しいアイディアをもらったりする。

多職種での討議なので、主には医療的問題ではなく、社会的問題が取り上げられることが多い。

本日開かれた症例検討会で取り上げられた2人ともに、独居の方の事例だった。

一人は50台の生活保護の男性。原因不明のADL低下と著名な血糖変動による意識障害、皮膚がんがあり、一人では生活できない方だった。

もう一人は90台のお金持ちの女性。一人の生活をかたくなに守っているかただ。

50代の男性の場合は、介護保険が使えない。一方で90台の女性の場合は、介護保険は使えるが利用する気がない。つまりどちらも介護サポートは入っていない。

50代の男性の場合は生活保護。お金にゆとりはない。一方で90代の女性は家賃収入があるがそれを有効には使えない。

50代の男性は人を受け入れて、やや人の意見に振り回されがちだが、90代の女性は人の受け入れはせずに、人の意見に耳を貸さない。

50代の男性の食材の宅配はセブンイレブンに頼ることになったが、90代の女性の宅配は三越からだった。

 

男性と女性の違いもある。年代の違いもある。経済状況の違いもある。しかし結局人の違いは大きなものではない。

ましてや、私たちができることや支えられることも小さい。

それでも、少しでも患者さんに、少しでもよく生きてほしいというという願い.

 

そんな思いで、診療が終了後のクリニックで症例検討会は続いていた。