継続診療としての往診

訪問診療は継続医療のために、あらかじめ予定(訪問診療計画)を立てて、その予定に則り訪問することであり、往診とは、緊急時などに、患者さん、ご家族に呼ばれて訪問することである。

訪問には原則この2種類だけがあるといわれている。しかし果たしてそうだろうか?

 

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今日、私は新年最初の出勤をした。

年末年始といえども、医療継続が必要な患者さんがいるから、当院では定期訪問診療は一日も欠かさない。そのほかに急に体調を崩す患者さんの緊急往診なども必須だ。だから年末年始の休暇中も常時医師、看護師、アシスタントのチームが交代で出勤して待機している。

 

私は12月29日と1月2日が当番だった。通常31日、1日を当番にすることが多かった自分としては、3日間の休暇は最も長い年末年始休暇の部類だ。

 

仕事始めの今日、私は予定の患者さんを含めて10数件の訪問をした。

 

そのうち定期診療もあれば、休暇中に他の医師にフォローしてもらっていた患者さんの見守りであったり、今後の療養方針を考えるための往診などもあった。

 

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往診にはいろいろな往診がある。

初診往診、退院後初回往診、緊急往診、経過観察往診、方向付け往診、看取り往診などである。このうちで必ず単回の往診になるのは、初診往診、退院後初回往診、看取り往診である。しかしそのほかの往診、つまり緊急往診、経過観察往診、方向付け往診などはセットで提供されるという特徴がある。

 

例えば、発熱や腰痛など緊急事態が生じたときに呼ばれるのが緊急往診だ。そして痛み止めや解熱剤を処方しながら、その間の生活の仕方や留意点を述べることで緊急往診が終わる。

その後これらの治療がうまくいっているのかどうかを診ながら、さらに微調整をする往診が経過観察往診となる。そして最終的に今後の生活の仕方を決めたり、療養方針をケットするための往診が方向付け往診となるのだ。

そして方向付け往診が終わって初めて、訪問診療が再開されるという特徴があるように思えるのである。セットで提供して初めて意味がある往診があるのだ。

このように緊急対応から始まって、いろいろなプロセスがあり、新たな訪問診療がはじまる。その間の往診こそが在宅医療では重要になる。