予後を改善できる緩和ケアチーム

本日、国立国際医療研究センターで開かれた、グローバルヘルス緩和ケア研究会で、向山雄人先生のお話を伺う機会があった。普段,同僚として文字通り一緒に机を並べて仕事しているが、改めて先生のお考えやスタンスをうかがいながら、先生の目指す緩和とは何なのかを考えた。

 

向山先生は言わずとしれたがん医療の泰斗であり、これまで癌研有明病院をはじめとして、数々の都内の基幹病院の緩和医療の立ち上げに貢献されてきた先駆者でもある。

しかし今日の講演会では、個別の症状緩和の話を一切されなかった。

痛みに対してどのような薬がいいとか?吐き気等の随伴症状をどう見るとか?という言う実際的な話ではなく、がん患者さんの体の中で起こっているそれぞれの症状を引き起こす原因がどこまで解明できているのか?そしてそれに対してどこまでアプローチできるのか?という基礎的お話が中心だった。

そしてそれ以上に強調されたのは、がん緩和の重要性だった。早期からの緩和がかかわることで化学療法以上に余命を伸ばす効果があるはずだというのだ。

もちろんそのためには、専門的対応や集学的対応も必要だろう。だがそれ以上に、それぞれの患者さんの中で起こっていることに対する洞察力や今のがん医療全体を見渡す力が必要なはずである。

どんな緩和でもいいはずはない。向山先生だからこそ、予後改善効果があるのだと、私は感じる。

しかし向山先生だけではいけないはずだ。どうような緩和チームがかかわれば予後改善できるのか?ぜひ先生に具体化していただきたいと思った。

単に最後までの療養を支援する緩和ケアチームではない。トータルで、がん患者さんの予後を改善できる緩和ケアチームを作りたい。

そういう先生からのメッセージを感じた講演会だった。

外来で感じる季節の移り変わり

月曜日の大雪以来、東京では気温が下がったままだ。

私は毎朝7時過ぎに出勤するが、出勤途中の道端には雪が残り、池の表面が凍っている。

 

外来では、寒波の到来に合わせて、慢性疾患の患者さんの足が遠のいている感じがする。年末多かったインフルエンザの予防接種も落ち着き、区民検診の受診もひと段落している。

 

当院にとって初めての外来は、このような発見の連続である。

在宅にはそれほど季節性はなかったのだ。

 

年末に比べて、年始の外来はなんとなく静かだ。

そんな余韻も楽しむようにしたい・・・。

 

そう思ったのもつかのま。

今日、今季初めての、インフルエンザAの患者さんがいらっしゃった・・・。

大久保の初冠雪

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昨夜から降った雪とその後の雨風で、道路を含めて街中はぐじゃぐじゃです。

大久保に移転してから初めての冠雪。しかも週初めからの異変。

くれぐれもみなさんお気をつけて!

父親の籠城

足腰が弱くなり、立ち上がれなくなった、一人暮らしの父親の在宅療養が続いている。

急に動けなくなり、さぞや困窮しているだろうと心配し、私は今日PEACEの講習会の後で、実家に父親を見舞った。

今の日常生活の様子をつぶさに聞く。

朝8時ヘルパーが来訪してベットから起こして椅子に座らせてくれて、朝食を用意してくれる。夕方5時にはやはりヘルパーが来て、夕食を用意し、食後にベットへの移動をして、寝かせてくれる。

その間昼に1時間、夜には排泄のたびに、緊急で訪問してくれる。

 

不自由がないというわけではないらしいが、父親にとっては入院や施設入所よりは良いという。

 

介護保険のおかげで、そこそこ生活ができているらしい。今の時代のありがたさを痛感した。

 

 

「迷惑をかけてすまない。」としきりに忙しい私に迷惑をかけていると謝るが、

「あとは、介護用ベットと車いす、自費のヘルパー利用ぐらいかな?」私のアドバイスに耳を貸そうとしなかった。

 

帰りがけに振り返ると、座りっきりになった父親が手を振っていた。