転身

昨日今日とこの二日間は、第三回全国在宅療養支援診療所連絡会大会だった。全国から700名以上の参加者があり、大変な大盛会だった。

私は、あるシンポジウムの座長を務めさせていただいた。またその間、様々な仲間との邂逅を楽しませていただいた。

このような大会や学会は、実に出会いと邂逅と学びの場なのだ。

今回のシンポジウムでは、座長の特権で、ぜいたくな演者の方々に、ふんだんにお話ししていただいた。みなさん。先駆的事例を包み隠さず、ご紹介してくださった。また多くの聴衆にも恵まれ、私を含めて、多くの方々が、明日からの現場に活かせるインスピレーションが得られたのではないかとも感じている。

ありがたいことである。

しかし、この会で私が非常に驚いたことがある。

ある厚労省の局長まで勤められ方が、退官された後、初期研修医を経て、今あるクリニックで勤務されているという。しかも在宅診療もされているということを、在宅医療の先達から聞いたことである。

もとより局長とは、医系技官の最高のポストである。そのポストを退いた後は、引く手あまただったに違いない。

しかし彼は医療の第一線の現場を選択した。

しかも最も泥臭い人間的現場で仕事をしているということを聞いて、私は仰天すると同時に敬服した。

 

そこに官僚であり、医療者である彼の自負や痛切な思いを感じた。また一方で第二の人生があるという生き方に、うらやましさも感じた。

 

定年とは、良くも悪くも仕事に区切りをつけられるということなのだ。

定年のない現場の一開業医のつぶやきである。