様々なユートピアに学ぶ

私が今回見学に行った医療機関には、いみじくもみな共通点がある。

自分のやりたい医療だけをやるのではなく、次世代や地域に求められる、より良いものを残すための活動をしている医療機関であることだ。

そしてそれぞれが、それぞれの現場において、それぞれの求められる役割に応じて独自の工夫やシステム、体系、目標を持っていることがよく分かった。だから一見するとバラバラであったり、すぐにすべての現場に適応できないこともあるかもしれない。

しかし、どちらでも共通していたことがいくつかある。

一つ目は管理体系の充実である。管理というとどうしても上から目線になりがちだが、どちらも共通しているのは、現場や地域がより発展的になるための工夫をしていることだ。それは現場をしている人だけではできない。現場を持たない人がいて、その人たちが地域医療機関の屋台骨を支えているということだった。

二つ目は、その現場を負担なく継続させるための、システム(ITや体制など)に相当の力を払っており、その重要性を認識していることだ。特に様々なルール(カルテ記載方法や診療頻度や夜間対応ルールなど)を一元化しようとする努力をしていた。また、どの医療機関もミーティングを重視していた。これもグループ全体の動きを一元化するには必須と考えていた。

3つ目は、将来の人材育成や教育体系を中心的課題の一つと考えていることだ。

そして最後に理念・・・というより夢。何のために組織があるのか?何をめざしているのか?を明確にしていることだ。

つまり今回の3医療機関の見学を通じて感じたことは、グループ診療には、管理、システム、ルール、教育などが大事だが、何より重要なのはトップも含めてスタッフ全員が従う”理念”があることだということである。

 

これらが、今回の夏休みの見学で私が学んだことだった。

ここで私たちが考えなければならないことがある。

今度は私たち自身がどんなユートピアを作り上げるのかということだ。