あいちトリエンナーレ 2016

後発のひかりの方がちょっと先着することを知っていながらも、新横浜のホームにこだまが滑り込んでくると我慢できずに乗ってしまいます。当直明け、崎陽軒のシウマイとビールを片手に豊橋へ、わくわくドキドキ一泊二日のあいちトリエンナーレ旅へ出発です。

3年に1度愛知県で開かれる芸術祭、あいちトリエンナーレ、2016年は岡崎、名古屋に加えて豊橋もその会場となり、より大規模に多彩に開催されました。どの会場に何が展示されているか、ちゃんと予習して出かけたりせず、今回はほぼノープラン。1日目豊橋と岡崎、2日目名古屋とおおまかな枠組みだけ決めて、事故的に作品と出会いたい、あらかじめそこに何があると知って出会うのではなく、意識することなく事故みたいな感じで作品と出会いたい、そして突然非日常の世界に叩き込まれるような感覚を味わいたいと思ったのでした。

今回はさまざまな作品の中でもぼくがとくに感動した大巻伸嗣さんの作品を3つご紹介します。

大巻伸嗣「重力と恩寵」

大巻伸嗣 《重力と恩寵》

豊橋会場での作品。雨予報だったのに晴れ上がった空に作品が映えます。

大巻伸嗣 《Liminal Air》

大巻伸嗣 《Liminal Air》

名古屋損保ジャパンビルでの作品。会場に入るとしばらく何も見えません。目が次第に慣れてくるにつれ、何か動いている気配を感じます。感覚が次第に鋭敏になってきます。普段の自分の知覚とは別種の知覚が芽生えてくる気がします。すると、自分の座っている前方で幽かな光をまとった布がはためいているのが見えるようになってきます。こうしたゆっくりとした変化の中、自分が何かすごく古いものに触れている感じがしてきました。それはもしかしたら自分自身の中にありながら忘却の彼方で眠るものすごく古い部分が目覚める感じなのかもしれません。DIC川村記念美術館でマーク・ロスコのシーグラム壁画に囲繞された時の感覚に近いものを感じます。

大巻伸嗣 《Echoes Infinityー永遠と一瞬》

大巻伸嗣 《Echoes Infinityー永遠と一瞬》

そして愛知県美術館での大巻伸嗣。450㎡の面積を要する色彩溢れる大作です。しかもその作品の上は自由に歩き回れます。観覧者が歩行によって作品に歴史を刻み込みます。

今回まったく傾向の違う大巻伸嗣の3作品を見ました。しかし一見まったく違うようではあるけれども、どれも普段意識していない感覚をそこに立つ者に呼び覚まし、非日常的なインパクトによって日常を刷新するような作品でした。3年後、たぶんまた愛知に行くでしょうが、そこでまたどんな作品と出会えるのか楽しみです。

人ではないのかっ!

皆さんはgoogleのストリートビューをご存じでしょうか。住所を入力し目的の場所を検索、さらに実写の画像で目的地周辺の様子が詳しくわかる大変便利なアプリです。日頃、我々も初めての患者さんやあまり詳しくないエリアに出向く際の下調べによく使い、とても助かっています。ところが、ここに珍事件が発生したのです。

パソコンで我が家をストリートビューで検索してみると、なんと!自転車を片付けようとする妻がバッチリと写り込んでいるではないですか!まあ、ここまでは時々聞く話ではあります。聞くところではプライベート保護の為、人の顔はコンピューターまたはスタッフの手でモザイクがかけられるとの事。が、しかしっ!妻の顔は全くそのままで写り込んでいるのです。しかも、1年前の同じストリートビューでは今は亡き、愛犬が犬小屋から顔を出しているところが写っており、犬の顔にはモザイクがかかっていたのに。「犬にはモザイク」「妻はモザイク無し」ですよ?

一応、妻の「人権」を尊重?するつもりで別角度で検索してみましたがこれまた素顔がばっちりでした。ちなみに子供達に話してみると3人ともこの事を既に知っていました。そして3人は「かあさんには黙っていよう。」と意見の一致をみていたのです。そう、妻はgoogleの世界では”人”ではないのでしょう。世の中には知らない方が幸せという事もままあるものです。まあ、知ったところでどうするつもりも無いと思いますけどね。(笑)

皆さんもご自宅を検索して見ると面白いかもしれませんよ。ちゃんと「人」になってるかそれとも・・・

アシスタントS

甲武信岳

笛吹川、千曲川、荒川、懐に3つの河川の源流を抱える甲武信岳。川の源流だけでなく、その名が示すように、甲州、信州、武州、3つの國にまたがる奥秩父屈指の名峰です。深田久弥は「日本百名山」の中で「山頂に降った一滴は、千曲川に落ちて信濃川となり日本海に入る。他の一滴は荒川に落ちて大東京を貫流して東京湾に注ぐ。更に次の一滴は笛吹川に落ちて富士川となり太平洋のものとなる」とこの山の分水嶺としての一面を描写していました。

今回は笛吹川の西沢渓谷から徳ちゃん新道を通り、木賊山を経て山頂に至るルートをとります。

塩山駅から西沢渓谷行のバスに乗るのですが、紅葉で有名な渓谷だけあって、バスは満員。臨時に2台のバスが応援に駆けつけましたが、残念、席はありません、立ったまま1時間以上バスに揺られます。

お昼はきのこうどん

お昼はきのこうどん

アルミ鍋うどんだけではなんだか寂しいので冷凍したきのこをジップロックに入れてきのこうどんに。このアルミ鍋はそのまま大切にとっておき、このあとの夕飯や朝食にも使います。

甲武信小屋

甲武信小屋

今回宿泊する甲武信小屋。日帰りでは行程がちょっと厳しく、テント泊だと荷物が重くなるので、大変便利な小屋泊まり。今回は素泊まりをチョイスしましたが、2食付きのプランもありますので、より軽く登りたい方にはそれもいいかもしれません。夕飯の準備が遅かったため、小屋の中の炊事場は満杯。外で夕飯を食べたのですが、気温2℃。何かの罰ゲーム以外、外で食べる気温ではありません。2食付きにすればよかったと骨の髄から思いました。

小屋の中

小屋の中

夕飯は午後5時、朝食は午前5時。寝るのは2階部分で雑魚寝です。日没から1階の広間に人が集まってきて、小屋の主人徳さんの出演したTVの録画や徳さん撮影の花の映像などのDVD鑑賞。酒をくみ交わします。消灯は午後8時。山で暮らすと健康になりそうです。

夜中トイレに起きたついでにちょっと外に出てみるとそこは満天の星空。普段そんな低いところに見えないような、たとえば木々の葉の間からも星が見えます。それだけ闇は深く、その闇の深さと星の輝きとの間には永遠の隔たりが存在しているように感じます。街では味わえない不思議な感覚です。

甲武信岳山頂

甲武信岳山頂

翌朝、日の出前に小屋を出てご来光目当てに山頂(標高2475m)へ。天気はよかったものの、山頂付近はガスに覆われ、薄くにじむような太陽が時折光っているのが見えただけでした。気温は氷点下、凍えながら小屋に戻り、朝ごはんを食べて下山します。

富士山

富士山

早朝もこの天気だったらと惜しみつつ、それでもやっぱり富士山は絵になります。

西沢渓谷

西沢渓谷

ある程度降りてくると植生が変わり、紅葉を楽しめるようになります。一泊二日のお気楽登山。シャクナゲが有名な山なので、今度は初夏にまた登りにきたいですね。

人が人を想う

新宿ヒロクリニック アシスタントの深澤です。先日、当院の在宅の患者様が他院へご入院されるという事で、最後の訪問診療に同行しました。
通常の診療が終わり、医師と患者様、ご家族とが今後の療養についてお話しされ、いよいよ最後の診療も終わりを迎えました。
医師と患者様が固く握手され、医師からの『元気でね』との声がけに、患者様も深く頷いていらっしゃいました。私も医師に続きお辞儀をして、退出しようとしたところ、患者様から握手を求められました。
力強く握手をされた感覚と同時に、裏方でアシストしている自分に対しても、心配りをされた患者様のお気持ちが有り難く感じられました。

立場を超えて、人が人を想う。そんな場面に立ち会わせて頂き、感謝しております。