緊急往診の意義

今日私は今年一年最後の出勤日となった。昨日が外来最終日、そして今日が訪問診療、往診最終日だ。

次は1月2日が私の当番だから、これから3日間は、何か患者さんに変化があった場合、電話対応や指示出しは私が行うが、往診など実際の医療行為は他の医師が対応してくれることとなる。

最終日、予定の診療に加えて、初診往診が1件、退院後初回訪問が1件、さらに緊急往診が4件と立て込んだ。

緊急往診の内訳は、発熱2件、血圧上昇1件、皮膚トラブル(疥癬の疑い)による往診が1件だった。

 

往診でもいろいろな治療的対応ができるし、療養生活の工夫ができる。何より本人家族にとって、何か困ったときにはいつでも往診してもらえるという安心感は大きい。しかし一方で往診の弱さもある。厳密な医療的対応や見守りは困難だからだ。しかし年末の休みに入った今日。病院も手薄だし、入院してもできることは少ない。

それならば、まずは対照的対応を自宅で行い、その間濃密に生活サポートして、介護などが無理なく過ごされるように工夫してみよう。

そしてもし、それでよくなればそれでいいし。よくならないときには、入院医療に切り替えるなどの調整をし直す。そんなことで病状不安定な高齢者が家で過ごす時間が少しずつ伸びていけるのだ。

 

しかし往診の実際の意義はほかにある。

往診を通じて、ご家族が、多少の病状変化に対する対応能力を増すと同時に急変を未然に防ぐ介護を身に着けることができるからである。

一緒に医療やケアに当たることにより、ご家族は介護力を確実に増していく。

往診の真の目的は、家での対応能力の向上にあるのだ。