東京国立博物館 長谷川等伯「松林図屏風」

 1月もすでに7日、いわゆる松の内があけようとしています。みなさま、どのようなお正月をお迎えされましたでしょうか。

 坂本には初詣などのほか、毎年正月の恒例行事が2つほどあります。一つは東京国立博物館の国宝室で1月に展示されるみんな大好き長谷川等伯の「松林図屏風」を観に行くこと。もう一つはその際、博物館の1年間有効のパスポートを更新することです。

 このパスポート、莫大な所蔵文化財を随時展示替えしている常設展に入り放題な上、特別展には6回入場できて4100円。ちなみに今やっている兵馬俑展の入場料が1600円ですから、どれだけお得なことか。

かわいい狩野山雪「猿猴図」

かわいい狩野山雪「猿猴図」

今年のパスポートの図柄は申年にちなんで狩野山雪「猿猴図」。ものすごくかわいい。

巨大な門松がお出迎え

巨大な門松がお出迎え

 巨大な門松が否が応でも正月気分を盛り上げてくれる中、いよいよ博物館に入場します。正月の間、中も外も華やいだ生け花が飾られていますので、それを見に来るだけでも楽しいかもしれません。

松林図屏風に佇む人たち

松林図屏風に佇む人たち

 まるで霧の中、向こうから何かが立ち現われてくるかのような松林図屏風。それはこの世界になかったものがどこか異界から姿を現してくるような不思議な神々しさを感じさせます。仏像や神像があるわけでもなく、ただ松だけが描かれているこの絵がどこか高い宗教性を感じさせるのはそんなせいなのかもしれません。毎年1月多くの人がここを訪れこの絵に接し、新年を寿ぐのもわかる気がします。この絵の前に立ち尽くした人々は、各々向こうの世界から松が姿を現すその瞬間に立ち会うのです。霧に包まれ、茫漠とした景色の中、姿を現した松の持つ対照的に力強い描線に圧倒されます。長谷川等伯 国宝「松林図屏風」、東京国立博物館2階国宝室で117日までの展示です。