甲武信岳

笛吹川、千曲川、荒川、懐に3つの河川の源流を抱える甲武信岳。川の源流だけでなく、その名が示すように、甲州、信州、武州、3つの國にまたがる奥秩父屈指の名峰です。深田久弥は「日本百名山」の中で「山頂に降った一滴は、千曲川に落ちて信濃川となり日本海に入る。他の一滴は荒川に落ちて大東京を貫流して東京湾に注ぐ。更に次の一滴は笛吹川に落ちて富士川となり太平洋のものとなる」とこの山の分水嶺としての一面を描写していました。

今回は笛吹川の西沢渓谷から徳ちゃん新道を通り、木賊山を経て山頂に至るルートをとります。

塩山駅から西沢渓谷行のバスに乗るのですが、紅葉で有名な渓谷だけあって、バスは満員。臨時に2台のバスが応援に駆けつけましたが、残念、席はありません、立ったまま1時間以上バスに揺られます。

お昼はきのこうどん

お昼はきのこうどん

アルミ鍋うどんだけではなんだか寂しいので冷凍したきのこをジップロックに入れてきのこうどんに。このアルミ鍋はそのまま大切にとっておき、このあとの夕飯や朝食にも使います。

甲武信小屋

甲武信小屋

今回宿泊する甲武信小屋。日帰りでは行程がちょっと厳しく、テント泊だと荷物が重くなるので、大変便利な小屋泊まり。今回は素泊まりをチョイスしましたが、2食付きのプランもありますので、より軽く登りたい方にはそれもいいかもしれません。夕飯の準備が遅かったため、小屋の中の炊事場は満杯。外で夕飯を食べたのですが、気温2℃。何かの罰ゲーム以外、外で食べる気温ではありません。2食付きにすればよかったと骨の髄から思いました。

小屋の中

小屋の中

夕飯は午後5時、朝食は午前5時。寝るのは2階部分で雑魚寝です。日没から1階の広間に人が集まってきて、小屋の主人徳さんの出演したTVの録画や徳さん撮影の花の映像などのDVD鑑賞。酒をくみ交わします。消灯は午後8時。山で暮らすと健康になりそうです。

夜中トイレに起きたついでにちょっと外に出てみるとそこは満天の星空。普段そんな低いところに見えないような、たとえば木々の葉の間からも星が見えます。それだけ闇は深く、その闇の深さと星の輝きとの間には永遠の隔たりが存在しているように感じます。街では味わえない不思議な感覚です。

甲武信岳山頂

甲武信岳山頂

翌朝、日の出前に小屋を出てご来光目当てに山頂(標高2475m)へ。天気はよかったものの、山頂付近はガスに覆われ、薄くにじむような太陽が時折光っているのが見えただけでした。気温は氷点下、凍えながら小屋に戻り、朝ごはんを食べて下山します。

富士山

富士山

早朝もこの天気だったらと惜しみつつ、それでもやっぱり富士山は絵になります。

西沢渓谷

西沢渓谷

ある程度降りてくると植生が変わり、紅葉を楽しめるようになります。一泊二日のお気楽登山。シャクナゲが有名な山なので、今度は初夏にまた登りにきたいですね。