外来から往診、そして在宅へ

当院が移転し外来を開始し、すぐに通院するようになった高齢女性の腰痛が悪化したのは、11月のことだった。

 

当院からは目と鼻の先、道路一本はさんだ向かい側に住んでいる。しかし一人暮らし、しかもエレベーターなしのマンションの三階だから通院できない。

 

まずは往診で痛み止めの処方を行い、薬局に届けてもらった。当院はこれまで遠距離の往診が多く、車での移動が常だったが、初めて徒歩での往診だった。

 

その後腰痛は徐々に改善したが、体を動かすと悪化するので、自宅で安静せざるを得なくなった。無理しなければ腰痛は悪化しないものの、外出はできなくなってしまった。

 

買い物もいけない。食糧が枯渇するようになった。

 

それに合わせて、生活支援などの介護サービスの導入や、訪問診療の実施、そして訪問リハビリ導入。と徐々に生活支援を整える。

 

「また元気になって通院できるようになろうね。」

「この階段の上り下りができるようにリハビリしようよ。」

 

たったこれだけのことだが、地域高齢者の支えには、外来だけ、在宅だけという支えも必要だが、時には一貫し、臨機応変に社会生活をサポートすることも必要だと感じた次第である。