大腿骨骨折

高齢者の骨粗しょう症などによる脆弱性骨折には、腰椎圧迫骨折(腰など)とともに大腿骨頸部骨折(大腿付け根の痛み)が有名である。

86歳で一人暮らししている父親が転倒して、動けなくなっている。足の付け根を痛がっている。という連絡があったのは、昨日の昼頃だった。要介護3で、自宅療養している父親には、普段友人の医師が訪問診療をしてくれている。その友人に連絡をしたところ、すぐに往診してくれて、救急車の手配をしてくれた。

 

ちょうど会議中だった私は、病院に搬送された父親の見舞いには行けなかったが、家内に行ってもらって、様子を見てもらったが、やはり大腿骨骨折受傷との診断で、入院ということになった。入院の手配や周囲への連絡などは家内がてきぱきとしてくれた。

 

今日になって私は病院に父親を見舞った。「金曜日に手術することになった。そのあとはすぐにリハビリだ。」と父親が弱弱しく言う。「なぜ一人で外に出ようとしたのか?」とついつい父親を叱責したくなるが、私は言葉を飲み込んだ。

逆の立場だったら、私もそういう言葉を聞きたくないだろう「迷惑をかけてすまない。」詫びる父親に、なおさら言葉を詰まらせる。

 

普段落ち着いているときには、介護保険による介護体制、そして医療保険による在宅医療体制で賄われている。家族が行くのは様子伺いで済むことが多い。つまりそれだけ体制ができているのだ。しかし何か変化があったときはそうはいかない。家族の出番で家族力が試される。次の療養が落ち着くまでは家族が主体的にかかわらなくてはならない。不謹慎かもしれないが、そんな介護家族にいつの間にかなったことを私は少しだけ楽しんでいる。