在宅医療を行っていると、現場の行動指針があまりにも未整備であることに気が付く。
在宅では、経験に基づいたものだったり、慣習的なものであったりする行為が混在している。
経験もない医療者にとっては、手探りで一つ一つの臨床的課題に向かい合わなければならない。
今後の在宅医療が堅実に発展していくためには、現場に役立つ行動指針作りが不可欠である。だから今、在宅医療の臨床研究を進めなければならない。
そういう意図で本日開かれた「在宅医療における研究の振興に向けてのワークショップ」に参加した。
日本在宅医学会と東京大学医学部在宅医療学拠点の共催だ。
参加者は20名程度とこじんまりした会であったが、20年近く在宅医療に携わってきた私にとってとても画期的な会であった。
在宅医療に関する先行研究が非常に少なければ、研究者自体も非常に少ない。
倫理性への配慮や研究デザイン作り方など、在宅医療ならではの、様々な課題もあることがよく分かった。
しかしこれからの高齢化社会において実効性のある在宅医療や地域医療を普及させるのに、研究の裏付けは不可欠なのだ。
今後、本会を主催した東京大学医学部在宅医療学拠点の山中先生、東芝病院緩和ケア科の茅根先生にご指導いただきながら、当院でも臨床研究をしていくことにつなげたい。
そう強く思うことができたことこそが収穫である。