待合室というフィールド

当院では4月より専門外来が充実した。

従来の内科、皮膚科、整形外科をそれぞれ枠を増やすと同時に、小児科、総合診療科などが稼働している。夜間や土曜日外来も開始された。このような様々な窓口が増えることで、より多くの地域住民の方々の健康維持増進に貢献できたらと思っている。実際受診される患者さんも増加してきている。

そうなると待合室がやや混雑しているように見えることもある。椅子が足らなくなるなどということは全くないのだが、待合室に5~6人でも座っていらっしゃると、待ち時間が多少長くなった患者さんのことが気になる。

通り掛けに、声をかけてみたり、挨拶してみたりしながら、私もそれとなく気遣う。

それぞれの現場で、医師は医師なり、看護は看護なり、事務は事務なりに頑張っているがどうしても待ち時間が長くなりがちになる。そんなとき、少し気になる患者さんの横に座って、雑談するようにしている。

その雑談で見えてくることがある。

「実は先ほど診察室では、言えなかったが、もう少しこんなことも相談してみたかった。」とか

「やはり検査をもう少ししてもらえばよかった。」とか

実に様々な振り返りがあるのだ。これは待合室が混めば混むほど振り返りが大きくなるようだ。

 

診察前、待合室に待っているときには、診察室に入ったらこういうことを相談しよう。ああいうことも相談しようと気負っていても、実際に診察室ではすべてが相談しきれるものでもなければ、すべてが解決しきれているわけでもない。ついついほかの待合室に並んでいる患者さんのことも気になってしまい、相談を控える方さえいるのだ。

診察が終わって再び待合室に帰ってきたときに、ああすればよかったとか、もう少しこうしてほしかったという後悔の念が生まれてくる。

そういう気持ちの拾い上げがとても重要だ。

その中から新たな疾患の可能性が見えてきたり、今後の検査方針が見えたりすることもある。

当院では待合室付きの事務スタッフが常時いるようにしている。そのスタッフに気軽に声をかけていただければと思う。

診察が終わったのだから、すべて終わりではない。まだまだ気になることがあったなら、遠慮なく相談してほしい。私もこれまで以上に積極的に待合室でみなさんと触れ合いたいと思っている。そんな交流こそが、診療所の醍醐味なのかもしれない。

 

みなさんの診察後のつぶやきこそが、新たな診療所の在り方を決めていくのだ。