また明日・・・

大たい骨頸部骨折で2か月間入院していた父親が退院したのは、火曜日のことだった。

退院して間もない土曜日、主治医を務めてくれている友人の医師から連絡が入る。

今度は、父親が、39度の発熱で身動きできなくなっている。というのだ。

 

これまで転倒による打撲などはひっきりなしだったが、発熱など全身状態にかかわる変化は全くなかった。しかも退院直後のことだ、

 

「虚弱化の連鎖が始まった?」そんな予感をもって、私は、実家に向かった。

 

実家では、ベットに横たわった父親が一人で高熱にうなされて寝ていた。

友人の配慮で点滴されていたし、抗生剤や解熱剤も使われており、適切に医療対応されている。

 

父親が弱弱しく言う。「トイレに行きたい。」すぐ横に置いてあるポータブルトイレに誘導しようとするが、高熱の父親は全く動けない。

父親も最後は断念したようだった。「もういい。」

 

その後が大変だった。

 

夜の街を薬局を探しまわった。30年前まだでは住んでいた町とはいえ、今はすっかり知らない街になっている。この時間のどこに薬局が開いているのか、まったくわからない。

尿意で苦しんでいる父親を思うと、自然と急ぎ足になる。結局は駅前のスーパーでリハビリパンツを買い求めることができた。

そして汗だくになりながら、身動きできない父親に穿かせて私の今日の役割は終わった。

 

「また明日朝来るから・・・」熱でうなされている父親に私は言った。