本日、日本在宅医学会の研修プログラム交流会に参加した。
各地で在宅医療専門医を目指す研修医たちの発表と、それぞれの研修プログラムの交流の場だが、ずいぶん在宅医療も変わったものだと、時代の変遷を感じる。
私が始めたとき在宅医療はそれぞれが手探り状態、実践や試行錯誤の場でしかなかった。
いつしか在宅医療を実践する医師も増え、学会が成立し、さらに発展し、体系化がすすんだ。今や数々の研修プログラムによる学習や研修の場も整備されるようになり、在宅医療も手探りから教育に変わりつつある。
しかし、在宅医学教育は単なる机上教育や実践の積み重ねでは済まないはずだ。
むしろ現場から何を学び、その学びを次の現場にできたかどうかが大事だ。
症例や事例をまとめ、文献や他の事例などによる裏付けなどを参考にしながら、自ら何を学び感じたのか、そして将来の課題に結び付けることが重要と言われる。
だから日本在宅医学会で重要視されているのが、ポートフォリオ学習だ。
いくつかのテーマを決めて、事例からの学びをポートフォリオとしてまとまる。
ポートフォリオとは、振り返りの集約である。
医療を実践するに、医学的知識や技術の裏付けは大変重要だ。しかし知識や技術的側面だけでは患者が求める医療を実践できない。その穴を埋めるのが振り返りだ、実践の振り返り(反省)こそ学びの場だ。そして次の現場にどのように医学的知識や技術を適応していくべきかを考えていく姿勢こそが必要なのだ。
そのためには、まずなりたい医師像を明確にすること。次にそのために必要な知識や技量を身につけること。そしてそれらを使用しながら現場に適応した時に、さらに学び、修正し続けることが何より重要だ。
このような習慣づけがされるためには、どうしたらいいのだろうか?
専門医をとるためのポートフォリオから、発展的に診療を行い続けるためのポートフォリオ作りとは何だろうか?
美しさやまとまりではなく、どれだけ学んだか?そういうポートフォリオこそ私は正しいと思う。