晦日に台湾の将来に思いを馳せる

台湾にきて2日目、朝から博物館をめぐり、古い寺院や観光地を訪ねながら、異国情緒を楽しむ。

台北の中心部では、新宿の街並みにも共通する活気にあふれた街の光景がひろがる。ビルが立ち並び、車の往来も激しい。

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そんな街の郊外に出ると、異なった風情の街並みとなる。廃墟と化した巨大な街並みが広がっている。

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郊外だけではない。街中でも一歩裏通りに入ると街の風情は大きく異なる。

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実は台湾の高齢化の進展は著しいらしい。日本の高齢化のスピードをを追い越すのではないかともいわれている。

そうした中、医療や介護の保険制度を日本を見習って整備してきている。

そして家庭医療、高齢者医療も・・・

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高齢化の問題は日本だけではない。

韓国、中国、シンガポールなどとともに台湾にとっても深刻な問題である。

それぞれの国、それぞれの文化、それぞれの国民性、そしてそれぞれの社会保障のあり方によって答えは異なるだろう。

だが、共通の問題であることは確かなのだ。

 

台北

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みなさん年末年始のお休みを楽しまれていると思いますが、いかがおすごしでしょうか?

私たちも交代でお休みをいただいております。

私は今日から元旦までの3日間、家族旅行で台湾に来ました。

思ったより気温も低く、時折突風も吹いている肌寒い雨模様。

しかし街には、南国特有、そして中国的な活気がありました。

来年の仕事に励むための生気をもらえそうです。

今日も往診が立て込んでいました。ご出勤いただいた先生方はじめスタッフの皆さんには大変感謝しております。

緊急往診の意義

今日私は今年一年最後の出勤日となった。昨日が外来最終日、そして今日が訪問診療、往診最終日だ。

次は1月2日が私の当番だから、これから3日間は、何か患者さんに変化があった場合、電話対応や指示出しは私が行うが、往診など実際の医療行為は他の医師が対応してくれることとなる。

最終日、予定の診療に加えて、初診往診が1件、退院後初回訪問が1件、さらに緊急往診が4件と立て込んだ。

緊急往診の内訳は、発熱2件、血圧上昇1件、皮膚トラブル(疥癬の疑い)による往診が1件だった。

 

往診でもいろいろな治療的対応ができるし、療養生活の工夫ができる。何より本人家族にとって、何か困ったときにはいつでも往診してもらえるという安心感は大きい。しかし一方で往診の弱さもある。厳密な医療的対応や見守りは困難だからだ。しかし年末の休みに入った今日。病院も手薄だし、入院してもできることは少ない。

それならば、まずは対照的対応を自宅で行い、その間濃密に生活サポートして、介護などが無理なく過ごされるように工夫してみよう。

そしてもし、それでよくなればそれでいいし。よくならないときには、入院医療に切り替えるなどの調整をし直す。そんなことで病状不安定な高齢者が家で過ごす時間が少しずつ伸びていけるのだ。

 

しかし往診の実際の意義はほかにある。

往診を通じて、ご家族が、多少の病状変化に対する対応能力を増すと同時に急変を未然に防ぐ介護を身に着けることができるからである。

一緒に医療やケアに当たることにより、ご家族は介護力を確実に増していく。

往診の真の目的は、家での対応能力の向上にあるのだ。

 

 

 

セブンか?三越か?

当院では、隔週に一度症例検討会が行われている。医師や看護師、理学療法士や言語聴覚士、ケアマネや渉外担当者などが集まり、おもに困難だった事例や課題を感じたことなどについて討議をする場だ。

どういう支えが大切だったのか?今後の支えはどうすべきか?などとみんなで討議するうちに、新たな気づきや、新しいアイディアをもらったりする。

多職種での討議なので、主には医療的問題ではなく、社会的問題が取り上げられることが多い。

本日開かれた症例検討会で取り上げられた2人ともに、独居の方の事例だった。

一人は50台の生活保護の男性。原因不明のADL低下と著名な血糖変動による意識障害、皮膚がんがあり、一人では生活できない方だった。

もう一人は90台のお金持ちの女性。一人の生活をかたくなに守っているかただ。

50代の男性の場合は、介護保険が使えない。一方で90台の女性の場合は、介護保険は使えるが利用する気がない。つまりどちらも介護サポートは入っていない。

50代の男性の場合は生活保護。お金にゆとりはない。一方で90代の女性は家賃収入があるがそれを有効には使えない。

50代の男性は人を受け入れて、やや人の意見に振り回されがちだが、90代の女性は人の受け入れはせずに、人の意見に耳を貸さない。

50代の男性の食材の宅配はセブンイレブンに頼ることになったが、90代の女性の宅配は三越からだった。

 

男性と女性の違いもある。年代の違いもある。経済状況の違いもある。しかし結局人の違いは大きなものではない。

ましてや、私たちができることや支えられることも小さい。

それでも、少しでも患者さんに、少しでもよく生きてほしいというという願い.

 

そんな思いで、診療が終了後のクリニックで症例検討会は続いていた。