新しい時代の在宅医療

本日私は大宮で開かれた、「成人の在宅医療に関わる医師向け小児在宅医療講習会」に参加した。

朝から濃密なプログラムで、今の時代状況。特に小児重症在宅患者の増加している実情やその対応方法について学ばせていただいた。

主催しているのは、小児医療や小児在宅医療に携わる大学の先生方や若手の在宅医療者たちだ。

以前から当院でも行っている小児在宅医療だが、改めて掘り下げると様々な地平が見えてくる。

成長発達の過程や教育、家族の問題など、さらに自立や社会参加など、医療、看護、リハビリなど多方面から語られた。

私自身は長年在宅医療を行っている。そういう意味では会場で一番長く在宅医療をしているかもしれない。恥ずかしながら、そんな長老的な私が、改めて感じたことがある。

着実に新しいムーブメントが起こっているということだ。

そして、いくら実績や歴史があったとしても、一つの現場、一通りのやり方ではいけないということだ。

常に新しい時代状況、新しい医療状況、新しい社会状況に応じた在宅医療を学び続け、作り続けなければならない。

もしその営みを失ってしまったら、自分が時代から遅れるばかりではなく、医療機関自体がすたれていく。ひいては最終的に時代からいらない存在となるだろう。

営みとは決して単なる持続的継続的な話ではない。問題意識を持ち続け、学び続け、トライし続けることを、「営み」と呼ぶのだ。と学んだ勉強会だった。

 

 

認知症サポート医フォローアップ研修会

今日私は、認知症サポート医のフォローアップ研修に出席した。2年間で、計8回の研修の今日は第1回目だった。

講師は東京都健康医療センターの実際の臨床や研究に携わっている先生方だ。集まっている聴衆も地域の認知症医療の第一線を担っている中心的役割を担っている医師ばかりである。

おのずと講義内容は高度となる。質疑も質が高い議論が続いた。

今日は、認知症の疾患概念の変遷、そして病理について詳しく語られた。

よく行われる疾患説明は、アルツハイマー型認知症や血管性認知症、レビー小体型認知症などの代表的疾患の特徴的症候の説明、そして抗認知症薬の使われ方やそれぞれに合併しやすい症状、例えば抑うつや興奮、不眠などの症候に対する対応の仕方が語られることがしばしばだが、今回の研修会は全く異なった。

 

病因論から始まり、解剖的特徴、そしてそれに基づいた画像的特徴、そして最終的に表れる症状。これらがもともとの病前性格や気質に加わり、脳や全身のどの部分にどのような変化が現れるかという専門的かつ最新の知見をもとに今後治療全般を見直して考えていくという質の高い研修会だったのだ。

 

例えばアミロイドβやタウ蛋白などは中枢神経に特に脳に特異的に沈着し、老人斑や神経原繊維変化をきたすのがアルツハイマー型認知症であると一元的に説明されることも多いが、実際にはどちらかの変化しかないものもあるし、アミロイドβなどがたまり始めて、実際にアルツハイマー型認知症が発症するには数十年がかかるというのだ。つまり今の抗認知症薬はある意味行き着いた神経変異による異常を和らげているといえる。

これまでも抗認知症役がはたしてきた役割は小さくない。飛躍的に自立生活できる認知症患者さんが増えたのは介護のおかげだけではないのだ。今後も病態の解明が望まれる。そして更なる治療の進展も・・

 

このように病理などから見ると認知症の患者さんの中に起こっている壮大なドラマが見えてくる。今後これらの複合的なドラマを少しずつ解明できる日も、そんなに遠くないのではないかと思える。そんなことを夢見れる研修会だった。

家族から見た在宅医療

要介護3で、家の中での歩行もままらなくなった、父親の訪問診療が始まった。

親しい友人の先生が、今後の父親の在宅医療を引き受けてくれたのだ。

 

昨日は初回の往診。

これまでの病歴の確認から、障害状況の確認、療養希望の確認などしながら、訪問診療の制度の説明や緊急時対応の在り方など十分説明された父親は、一人暮らしの不安が解消できたと大喜びだった。

自分が希望する療養を、自分が希望する場所で行える保証を得られたのだ。

 

これで介護的対応だけではなく、医療的対応も自宅で可能になった。

もともと病院に行きたくない。施設に入ることも拒否していた父親が自分になりに過ごす保証ができたのだ。

 

私も、初めて家族の立場で在宅医療を受けてみると、分かったことがある。

在宅医療は心強いものだということである。

 

病院の医療もありがたいが、在宅医療には違ったありがたみがある。

治してもらえる医療ではないかもしれないが、なにより安心して生活できるのだ。

 

私もこれまで自分がしてきた仕事の意味が再確認でき、さらに頑張る気力をもらうことができた。

 

同行した看護婦さんにやさしく足湯をしてもらい、見違えるぐらい足をきれいにしてもらった父親は「ありがとう。」と言って、目を細めていた。

休日診療

今日は、医師会の休日診療当番だった。朝9時から夕方5時まで、私は内科対応だったが、ひっきりなしに胃腸炎やインフルエンザ、風邪の患者さんが来院された。

 

気が付いてみると、内科小児科合わせて90名、内科だけでも50人近くの診療をしていた。

 

単一疾患の患者さんが多い急性診療の場合、セット(病名、検査、薬などが選択式で入れられる。)入力が有用と思った。

 

医師会診療所は1日のみの処方なので、急性疾患の一時対応が中心だが、休日の診療ニーズは、急性期診療だけなのか?

休日しか来れない慢性期患者さんはみんなどうしているのだろうと感じざるを得なかった。