どう生きるのか?

示唆をすることもできる。サポートすることもできる。しかし・・・どう生きたいかは自ら決めるしかない。

 

日曜日の夜に電話が鳴る。

入院中の、普段見ていない患者さん。時々必要時に往診していた患者さんが、経口摂取困難と言われ胃瘻の増設をすべきかどうか迷っているという。

 

胃瘻をつけても自宅で過ごすことは十分可能だし、胃瘻をつけずに自然に自宅で過ごすことも可能だ。どう過ごしたいかさえ明確にしてくれれば、アドバイスもできる。

しかしどう過ごしたいかを明確してくれればいくらでもアドバイスできる。

それも困難なようだ。それもわかるような気がする。 ならば少しゆっくり話あったほうがいいと思う。だから、明日の私の外来に来ていただければ、いろいろご相談に乗れるとお伝えする。

しかし、明日は仕事だから、無理だという。

地域には、答えのない話もある。

在宅医療の研究について

在宅医療に従事する医療者が増えている。昨今では日本在宅医学会での研修プログラムの充実など研修や教育の機会も増えてきた。しかしまだまだ在宅医療における臨床研究は少ないままである。

在宅医療現場では、臨床的疑問は生じないのだろうか?いや在宅現場には限りなくたくさんの臨床的疑問がわいてくる。

例えば、各在宅医療機器の在宅ならではの管理はどうすべきか?寝たきりの高齢者にどこまでの血圧管理が好ましいのか?悪性腫瘍患者の予後予測評価は果たして在宅で成り立っているのだろうか?などなど無限ともいえる臨床的疑問が広がっている。

つまり在宅医療は臨床研究の宝庫であるといえる。しかし実際にはそれがまったく進んでいない。

昨日当院では、東京大学在宅医療学拠点の山中崇先生に「在宅における研究の在り方について」についてご講演いただいた。

まだまだ進んでいないが、今後、東大や日本在宅医学会を中心に少しずつ条件整備しいくとのことだった。

では研究するには、どのような課題があるのだろうか?

1・臨床的疑問を明確にする。

2・先行研究や文献などを調べる。

3・実際の研究デザインをする。

4・倫理委員会などによる研究の妥当性、適正性などの評価を受ける。

5・実際の臨床研究を行う。

6・統計的解析を含めて、結果の妥当性を検証する。

7・論文にまとめたり、学会に発表する。

ちょっと考えただけで、このような膨大なプロセスがある。

 

しかしだからと言って人任せでいいわけではない。

これまで長いこと在宅医療を行ってきた者の一人として、少しずつでも、研究的素地を整備していきたいと感じている。

千里の道も一歩よりである。

オンライン予約

当院外来にはさほど検査機器はない。

検査機器といえば、レントゲン,DEXA、心電図、エコー、聴力検査、スパロメトリー、オージオメーター程度である。

CTやMRI、PET検査などは外注するしかなかったのだ。

しかし最近では、当院のパソコンから大久保病院や国立国際医療研究センターのこれらの検査予約が自由にできるようになった。

自院の院内検査のように、予約できる。

今日、当院の胸部レントゲン写真で異常を見つかった患者さんのCTを今日すぐにオンライン予約でとることができた。

地域全体が一つの病院になる。

そういう日も間もなくだということを実感した瞬間だった。

大久保という土地

新宿区は33万人の人口のうち、高齢者は66000人余り、つまり高齢化率は20%程度(全国25.2%、東京都21.5%)で、決して高齢化の進んだ地域ではない。

 

しかし高齢者のうちで独居で過ごされている方は、33.2%(平成22年国勢調査)で、全国の独居高齢者率16.4%はもとより、東京都の23.6%も大きく上回り、都内、区市町村の中で第一位となっている。

 

さらに大久保地域は、独居率が45.3%となっており、ずば抜けている。高齢者8321人のうち3766人が独居で過ごしているといわれる。そして驚くことに独居の外国人高齢者も少なくないのだ。

 

当院外来にいらっしゃるのはこの大久保地域そして隣接する戸塚地域からの高齢者の方が少なくない。

ちなみにこの戸塚地域も8032人の高齢者のうち3345人が独居で、独居率は41.6%と非常に高率である。

 

つまり、両方を合わせると7000人以上の独居高齢者がこの地域にいらっしゃることがわかるのだ。

 

確かに外来にいらっしゃる高齢者の患者さんに聞いてみると、独居の方が非常に多い。スープが覚めない距離に家族が居住している場合もあるが、多くの方は家族と遠く離れて一人で生活されている。

 

韓流のきらびやかな店が立ち並ぶ街は、一方で独居高齢者が暮らす街なのである。

この大久保で、独居でも高齢者が安心して過ごせる街づくりを考え続けていきたいと思う.