リハビリ小噺 ⑫

訪問リハビリの現場では日々、様々な会話が繰り広げられています。

少しだけご紹介させていただきます。

 

今回は患者さんのところに届いた素敵なプレゼントに関してです。

郷さんの新聞

今年の「敬老の日」。お祝いにお孫さんから届いたのは

「Kさんの生まれた日の新聞」でした。

約90年前の新聞です。

旧漢字や右から左に進む横書きが時代を感じさせてくれます。

オモテ面の内容は主に当時の政治状況を伝えるものでしたが、

不勉強の私には内容の理解もままなりませんでした。

 

ウラは社会面。少し柔らかい内容の記事でした。

私にも少し読むことができました。

おもしろい記事があったので紹介させていただきます。

 

紙面の右上。「楽行のふけ」つまり「今日の行楽」のコーナーです。

Kさんの誕生日は3月の終わりころ。

お生まれになった日は良く晴れた日曜日だったようです。

以下、紙面より抜粋です。

「けふ、三十日の日曜は、まづお天氣は大丈夫だから

差し當り市内近郊の行楽地へは氣の早い花見客が相當押寄せることゝ思はれる。

(中略)氣の早い江戸っ子は春の郊外へすつ飛んで行きさうだ。」

とありました。

 

「氣の早い江戸っ子」

記事には上野公園の桜は一分咲き程度とありました。

そいつぁーちょいと氣が早すぎるってーもんだよなーっ!

 

リハビリ小噺 ⑪

訪問リハビリの現場では日々、様々な会話が繰り広げられています。

少しだけご紹介させていただきます。

 

このブログは利用者皆様との会話がもととなって作成されています。

人生経験豊かな皆様からうかがうユニークな話は、

私にとって、とても勉強になることばかりです。

 

90歳代の女性Jさん。

ご主人のお仕事の都合で海外経験も豊富で、

常に元気よく、常に活動的に過ごされてきた方。

いつも楽しいお話をしてくださいます。

 

朝9時過ぎにリハビリで訪問しました。

その日は珍しく、ぐっすりおやすみになられていました。

何度か声をかけても起きる気配がありません。

 

 

私「Jさん、おはようございます。Jさーん。」

Jさん「ZZZ…ZZZ…」

私(体をゆすりながら)「Jさん、おはようございます!リハビリですよ!」

Jさん(パッと目を開かれて)「酔っ払い役の練習をしていました。」

私「んっ!!今なんて…。」

Jさん「ですから、今度やる酔っ払いの役の練習をしてたんですよ。」

私「そ、そう来ましたか…。」

 

なんと素晴らしいセンスのユーモア。驚きました。

寝起きのとっさの一言をおしゃれに決めてくださいました。

さすが大先輩です。尊敬します。ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。

 

リハビリ小噺 ⑩

訪問リハビリの現場では日々、様々な会話が繰り広げられています。

少しだけご紹介させていただきます。

 

新年度です。

通勤電車の中にフレッシュマンの姿を見かけます。とてもまぶしいです。

自分にもそんな時代があったなーと思いながら、うらやましく見ています。

 

当たり前ですが…

フレッシュマンは「新入社員」。会社ではそう呼ばれますよね。

病院は会ではないので

員」ではなく、「員」という言葉を使うことが多いようです。

 

Iさんは元薬剤師さん。

同じ医療業界ということでちょっと聞いてみました。

私 「医療業界のフレッシュマンは『新入職員』とか呼んでますよね。

Iさん「そうねぇ」

私 「薬剤師さんもそうなんですか?」

Iさん「うーん、薬局だと『新入局員』なんて言ってるかな。」

私 「あーなるほど。『入局』ね。なるほど、なるほど。」

Iさん「そうねぇ」

私  「でも、ちょっと待ってくださいよ。薬が『入』だとしたら、

は『入になっちゃうじゃないですか。」

Iさん「そうだねぇ。そりゃ困ったね。ハーハッハッハ。」

 

みなさん、お身体には十分気をつけてお過ごしください。

 

リハビリ小噺 ⑧

訪問リハビリの現場では日々、様々な会話が繰り広げられています。

少しだけご紹介させていただきます。

 

訪問リハビリは可能な限り

生活に即したリハビリを提供することが求められています。

食事やトイレなど身の回りのことを行う動作練習ももちろんですが、

それよりも範囲を広げて、洗濯や買い物なども介入の対象になっています。

 

Hさん(90代女性)とはリハビリの時間に屋外歩行練習を兼ねて買い物をしています。

あまり長い距離を歩くのは難しいのですが、

近所のコンビニまで安全に買い物に行くことが当面の目標です。

 

今日も買い物に行ったHさん。

お会計の際になじみの店員さんに話しかけています。

 

Hさん 「今ね、リハビリの歩く練習で来ているのよ。この人リハビリの先生。」

店員さん「ああそうなんですね」

Hさん 「まだ一人で来るんじゃ自信ないのよ。」

店員さん「がんばってくださいね。」

 

何気ない会話です。

ところが…。店を出てHさんの一言にとても驚かされてしまいました。

Hさん 「リハビリだってことはちゃんと言っておかないとね。」

私   「えっ、なんで?」

Hさん 「若い彼氏連れて歩いてるなんて言われたらいけないからね。」

私   「!?

 

Hさんの元気の秘訣が少しだけわかった気がしました。