最近のコロナ感染の拡大について

昨今当地を中心に東京では急激な新型コロナウイルス感染者の増加がみられております。多くは若い方持病を持たない方ですので、軽症で済んでいますが、感染拡大が高齢者の方や持病をお持ちの方に広がったときのことを心配しています。

当院では急いで院内対策マニュアルをまとめると同時に、コロナ期を健やかに過ごすためにと題した一般の方向けのビデオ説明会を行いました。今後のご参考にしていただければ幸いです。

ビデオ説明会(一般の方向け)

https://www.youtube.com/channel/UC9zwmt-ncmbamEEhMP1BHkQ

 

院内COVID-19対策指針

COVID-19対策対応20200717版

当院の新型コロナウイルス対策 2020/03/11

 

重要)現在当院では、「濃厚接触歴がある発熱患者さん」や「新型コロナウイルス検査希望」の方の診療はしておりません。

 

当院では、皆さんに安心して外来受診していただくために、2段階トリアージを行わせていただいております。

電話トリアージ:予約患者さんには当院からのあらかじめお電話して状況確認させていただきます。また予約外患者さんはなるべくあらかじめ電話でご相談の上来院ください。

来院時入口トリアージ:電話トリアージに基づいて、再度入室前に問診や体温測定、手指消毒などしていただき、外来入口にて入室方法(当院は3か所の入り口から入れます。)、待合利用方法(待合室を4つ用意しています。)を再度調整させていただきます。

 

一般患者さん、発熱性疾患患者さん、濃厚接触可能性のある患者さんの振り分けと適切な受診方法を選別、(通常外来受診、特別入室方法、特別待合室利用など)させていただいております。

人的、構造的限界から、完全に診療動線を分離することはできていませんが、可能な限り分離、短時間化を図り、院内患者さん同士が濃厚接触が生じないような努力をしております。

あらかじめ予約を取っていただき、なるべくマスクを装着してご来院ください。

 

そのほか院内体制として

在宅診療、外来診療ともに標準予防策の徹底(診療時マスク、手指消毒の徹底など)

会議や勉強会、カンファレンス頻度、時間の見直し

診療形態(外来、往診、電話、訪問診療など)、診療時間や診療頻度の適正化

電話連絡・往診体制の強化

を行っております。

在宅高齢者のコロナ対策

当院では多くの高齢者の方々の外来及び在宅診療を行っている。

高齢者にとってコロナ対策は実に難しいが、今の時点での対応の仕方について考えてみた。

1・コロナウイルス感染予防をしながら、どうやって活動性や社会性を落とさないようにするのか?

高齢者はただでさえ引きこもりやすい。不要な外出や人との接触を防ぎながら、社会性や活動性をいかに保つためにどうするか?が課題だ。ただ家に引きこもっていればいいとは言えない。適切な運動機会や人との交流機会を確保していくことはとても大切なことである。3月8日現在、小中高など学校などが休校になっているが、ほとんどのデイサービスやデイケアなどは継続されているのはありがたい。しかしいつまでそれが続くのか?訪問でのリハビリの活用やテレビ電話などでの通話機会の確保や身体運動を保持するようなテレビゲームなどの活用も必要かもしれない。どこまで活用されるかは、千差万別だろうが、高齢者に電子機器は似合わないと思っていることが多いが、これを機会にそのような機器も検討したい。

 

2・風邪や逆流性食道炎など高齢者によくみられる呼吸器症状とコロナウイルス感染をどう区別するか?

風邪や誤嚥性肺炎では、発熱、咳、痰、呼吸苦などが出現し、しかも高齢者の場合遷延化しやすいという特徴がある。もし身近にコロナウイルス感染者がいたような高齢者の場合は、早目にPCR検査ができる施設への搬送が望ましい。しかし接触歴がない方の場合、風邪や肺炎の疑いがあるから今はコロナが心配だからと言って、みんなコロナ対応医療機関へ搬送するわけにはいかない。今後迅速診断キットや治療薬、ワクチンなどが開発されれば在宅でのコロナ誘発肺炎の治療も可能になると思うが、それまでは接触歴をしっかり把握しながら、適切な対応を心がけたい。

現時点では従来通りの風邪や肺炎治療の流れを優先し

1・自宅での対症的治療を早めに行いながら、

2・重症度や介護生活状況を鑑みて、一般病院入院治療へ切り替え

3・そちらでの診断検査などによって、コロナ対応医療機関治療への移送

という流れがリーズナブルと思う。

しかしさらに今後は様々な社会情勢を踏まえたきめ細やかな対応が必要になるだろいう。まずはコロナ患者さんとの濃厚接触歴の有無に注意しながら、早めの往診などで、速やかな自宅での加療を開始して、なるべく機能を落とさずに、早目に直すように努力するように努めたい。

超高齢者の急性期治療のありかた

山王病院で学びました。

先日山王病院で開かれた患者さんの退院前カンファレンスに出て驚愕した。

ぎりぎりのところで生活している超高齢者の方、しかも重症肺炎での入院だったが、速やかに病状が改善したばかりではなく、ほとんど生活機能低下を認めなかったからだ

なぜそんなことができるのだろう。その病院では下記のことが実践されていた。

1・家族の付き添いが認められているので、自宅介護がそのまま入院先で確保されている

2・生活機能を落とさないため、入院初日から看護、リハビリなど積極的で集学的なアプローチがされている。

3・入院当初から経口摂取を止めないなど、できる機能を取り上げない治療を実践していること

4・虚弱高齢者の特性に詳しい治療医に恵まれている。

すべての医療現場でこれらを実践することは難しいだろう。
またすべての患者さんにこのような対応ができるわけでもない。人手も必要だろうし、家族の協力なども不可欠となる。しかし虚弱高齢者が社会生活維持するために、どういう急性期医療が必要なのか、私は初めて教わった気がした。

まずは生活機能維持改善を優先すべきだったのだ。

私にとっての在宅医療の師である佐藤智先生の言葉が、頭を駆け巡った。「病気は家で治すもの。」

私たちも、もっと積極的に、在宅でこのような生活機能維持改善型急性期治療を目指すべきだと学んだ次第である。