フレイルその2

先日、フレイルに関する講演会に行って来ました。

以前の記事(2015年12月2日 流行語!?「フレイル」/12月14日 フレイル予防)でもご紹介していますのでフレイルの説明は省きます…

その時にはまだ日本独自の評価尺度ではなく、アメリカのものが紹介されていましたが、現在は厚生労働省からフレイル判定の基準となるチェックリストが公表されています。

フレイル(≒虚弱≒要介護状態になるリスクが高まった状態)といっても多面性があり、身体的要素や心理・精神的要素、社会的要素とあらゆる側面があります。

そのためチェック項目も、生活活動や身体機能、栄養状態、口腔機能、社会的生活活動、認知機能、抑うつ気分と多岐にわたっています。

どういった要因でフレイル状態になってしまうかは人それぞれ。

膝が痛くて外出頻度が減ってしまって、他者との交流機会が減って元気がなくなり、徐々に食欲も無くなり…という方もいらっしゃるでしょうし、歯が痛い・義歯が合わない・むせる事が増えたなどで食事が美味しくなくなり、食事量が減って体力も落ちてしまって外出もままならなくなる…という方もいらっしゃるのでしょう。

今まで当たり前に出来ていたことが出来なくなるのはとても辛いこと。

完全に出来なくなってしまってからでは、元に戻すのも容易ではありません。

完全に元通りに出来ない事だってあり得ます。

そうならないためにも、早めに対策をすることが大切です。

 

東京大学の飯島勝矢先生によると、健康長寿のための3つの柱として

  1. 栄養(食・口腔機能)
  2. 身体活動(運動、社会活動など)
  3. 社会参加(就労、余暇活動、ボランティアなど)

が挙げられるそうです。

良く食べ、適度に動き、他者との交流を図る。

❝きょういく❞ と ❝きょうよう❞が大事だとも言われますね。

❝きょういく❞=今日、行く所がある

❝きょうよう❞=今日、用事がある

だそうです。

 

私たちが訪問リハビリで携わるのは既にフレイルの状態になってしまっている方々や、要介護状態の方々ですが、少しでも社会参加をして能動的に生活を楽しめるようお手伝いが出来ればと思っております。

 

【お】

がん患者のリハビリテーション講演会へ参加してきました。

3月16日、慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室の辻哲也先生の講演会に参加してきました。

講演テーマは、がん患者に対するリハビリテーション。

がんの患者さんにリハビリ?…と思われるかもしれませんが、
近年、がんの患者さんは増加し、生存率も向上してきていることで、がんと共存しながら生活していく時代となってきています。その為、生活の質を高めるうえで、一般的な治療だけではなく、リハビリも必要性が高まってきています。

じゃあ、実際にがんの患者さんにどんなリハビリを行うかというと…

例えば、乳がんになり手術後に肩の動きが悪くなっている方に対しては、リンパ浮腫を改善するマッサージや肩の動きを良くする運動などを行ったりします。

また、肺がんになり呼吸することが大変になってきた方に対しては、体力をつける運動や楽に呼吸できる姿勢の指導、自主トレーニング方法などをお伝えしたりします。

リハビリの内容は、がんの種類や病気になっている時期、個人によってさまざまです。

入院や外来のリハビリだけではなく、訪問リハビリでもがんの患者さんを担当する機会があります。

がんになってもその人らしくお家で暮らしていけるよう、訪問リハビリでできることを提供していきたいと思いました。

選択肢の数と幸福度

最近「選択肢が増えると幸福度は下がる」という学説をふと思い出しました。(”選択のパラドックス”と言います)

「選ばなかった選択が後悔を生む」からだそうですが、

確かに「これじゃなくてあっちにしておけば良かった…」と思うこと、よくあります。選択肢が増えると、その後悔の種も多くなるというわけです。(他にも理由が挙げられていますが、興味のある方は”選択のパラドックス”で検索してみてください)

最近、携帯電話の契約を大手キャリアから格安のものに乗り換えた時に、選択肢が15もあって決めるまでに結局かなり時間がかかってしまい、決めた後は達成感と言うよりは疲労が残り…ということがあり、「選択肢が多いのも考えものだわ」と前述の”選択のパラドックス”を思い出した次第です。

生活の中で日々小さなことから大きなことまで選択の連続ですが、選択肢を調整するための方法と心の持ち方としてのアドバイスとして私が見つけたのは・・・

①具体的な数字を決めて、選択肢を狭める

例えば「お店をまわる時は3軒まで」など具体的な数字で選択肢を狭めてみる。

②自分の基準を持つ

基準はシンプルに、一番大切な条件を満たせば良しとする

③「必ず後悔する」ことを受け入れて選択を楽しむ

選択肢が多くて悩ましいなんて、よく考えるととても贅沢な悩みですね。

とりあえず、個人的には携帯代が安くなって満足しています。面倒くさくなってそのままにせず、選んで良かったと思う今日この頃です。

今回、リハビリとは直接関係ない内容になりましたが、何かのご参考になれば。

 

日々の訪問で思うこと

訪問リハビリテーションでは、
ご病気をきっかけに、自宅の中で動くことや生活に支障をきたしてしまった方に、少しでもご自分で動作ができるように、また介護の負担が軽くなるようにとの目的で、私たちが関わることがあります。

実際には患者さんの頑張りもさることながら、ご家族やヘルパーさんなどの助けが必要になるケースが多く、献身的に介護されている様子を拝見させていただくと、本当に頭が下がる思いです。

ただ一方で、
介助が大変そうだな、
もっと楽にできないだろうか、
別の方法の方が安全なのではないか
と考える場面もあります。

私たちリハビリスタッフは、患者さんがどれくらい動けるのか、どれくらい介助すれば目的の動作ができるのかを把握し、能力を発揮していただくための方法や対応を考えます。

介助者側としては、介助しなさ過ぎもダメかもしれませんが、介助し過ぎても、その人の能力が発揮できないばかりか、介助者の負担も増えてしまうかもしれません。

そこでみなさんには、安全を考慮した上での動き方や介助の仕方をお伝えしたり、場合によっては福祉用具導入の提案などをさせていただくことも、私たちの役割の1つです。

リハビリスタッフが直接関わる時間は、1週間のうちでわずかしかありません。リハビリ以外の普段の生活が安全かつ快適に過ごせるように、患者さんや介護される方々のお役に立てればと思っております。