つぶやき~その2~

在宅医療・訪問診療だけをしていた時には気が付きませんでしたが、8年前から外来を初めてわかったことがあります。

訪問診療を受けている患者さんに比べて、本来は元気なはずの外来にいらしてくださっている高齢者の方のほうが突然変化される方が多いように思います。

訪問診療が入っている方は、診療だけではなく様々な介護サービスが自宅に入っているので、何か変化があった時周囲の方がすぐに気づいてくれます。しかし外来にいらしている方はあまりサービスを使っていない方が多く、何か変化が起こってもだれも気が付かない。よほど大きな変化になって初めて周囲が対応するということが少なくないのです。

真夏の熱中症で急変する方は、訪問診療の患者さんでは少ないですが、軽度の認知機能低下など生活機能低下がありながらも、そこそこ一人暮らしで来ているような方が非常に多いのです。高齢者医療においては、起こったことに対応する医療だけではなく、起こりそうなことを未然に防ぐ医療が必要だと気付かされます。

少し下肢筋力の衰えを感じている方には、転倒予防を。痰がらみが多くなっているとい方には、誤嚥予防を。全体に虚弱化が進んでいる方には、介護サービス導入を。

要支援や要介護認定をもらていても、まだ困っていないから、介護サービスやリハビリなどは使っていないという方が非常に多いですが、転ばぬ先の杖のような高齢者医療ケア体制が必要に思うのです。

つぶやき~その1~

コロナ禍も終わり、再スタートをするにあたり、少しずつ呟いてみたいと思うようになりました。

つぶやきは決して声高であってはいけません。つぶやきは悪口であったはいけません。つぶやきは自分にかみしめる言葉です。そんなつぶやきをここに記載したいと思います。

私が在宅医療・訪問診療を始めた時、まだそんなことをする医療機関が少なく、人工呼吸器や中心静脈栄養を付けた患者さんは自宅で過ごすことが困難な時でした。24時間対応で医療対応する医療が自宅でできれば、数多くの患者さんが家で過ごせるようになるはずだと思ってがむしゃらに頑張った思い出があります。

さらに介護保険制度ができて、自宅での介護体制が整備されたので、医療と介護が整ったら、どんな人でも自分の望むところで自分の望む人生が全うできる世の中が来るはずだと、介護保険制度に夢を思っていました。それから間もなく四半世紀になります。確かに在宅医療は進みました。介護サービスも充実しました。

それから間もなく四半世紀、多くの人が自分の望む場所で主体的に人生を全うできる世の中になっているのでしょうか?