あけましておめでとうございます。
皆さま、つつがなく新年をお迎えられたことと、心よりお喜び申し上げます。
旧年中は、大変お世話になりました。今年もいろいろな変革の年になると思いますが、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
お正月を海外で迎えたせいで、世界に発信できる地域医療機関を目指して、頑張ろうと思った新年の朝でした。
在宅医療・訪問診療・外来診療|東京都新宿区|新宿ヒロクリニック
台湾にきて2日目、朝から博物館をめぐり、古い寺院や観光地を訪ねながら、異国情緒を楽しむ。
台北の中心部では、新宿の街並みにも共通する活気にあふれた街の光景がひろがる。ビルが立ち並び、車の往来も激しい。
そんな街の郊外に出ると、異なった風情の街並みとなる。廃墟と化した巨大な街並みが広がっている。
郊外だけではない。街中でも一歩裏通りに入ると街の風情は大きく異なる。
実は台湾の高齢化の進展は著しいらしい。日本の高齢化のスピードをを追い越すのではないかともいわれている。
そうした中、医療や介護の保険制度を日本を見習って整備してきている。
そして家庭医療、高齢者医療も・・・
高齢化の問題は日本だけではない。
韓国、中国、シンガポールなどとともに台湾にとっても深刻な問題である。
それぞれの国、それぞれの文化、それぞれの国民性、そしてそれぞれの社会保障のあり方によって答えは異なるだろう。
だが、共通の問題であることは確かなのだ。
クロワッサンスペシャル「親を看取る」が出版された。
みなさんご存知のように「クロワッサン」という雑誌は、介護や医療に全く関係のない雑誌です。ちょっとおしゃれな生活情報誌のような感じの雑誌です。愛読者は多岐にわたりますが、どちらかというと30代から60代ぐらいの女性が多いといいます。そんなクロワッサン編集部から、「親の介護や看取りなどの準備をしなければならない世代の読者層が多いので、読者にとって道標になるようなムック本を作りたい。」という依頼があったのは、2か月前のことでした。
それから、編集者やライターの方との議論が始まりました。
「脳梗塞の場合はどうなのでしょうか?」「がんの場合はどうなのでしょうか?」いろいろな質問が飛び交います。まったく介護のことなど考えたこともない、親の看取りなども思ったこともない編集者やライターの方が素直にいろいろな質問をぶつけてきます。
その一つ一つの質問に答えながら、私は考え続けました。
もっと一つ一つの事象に振り回されず、親に起こることに対して、冷静に対処できるように読者に伝えるためにはどうしたらいいのだろう?と何度もディスカッションを続けました。実際の在宅患者さんにもご協力いただき、診療場面にも来ていただきました。
私の長時間の講義を受講していただきました。
一緒にビールを飲みながら、ああでもない。こうでもない。という議論もしました。
でもいつも、お互いに不消化な感じが残ったのです。
「何とか今日伺った話をまとめてみます。」まるで難しい宿題を出された学生のように頭を抱えながら帰るライターの姿を見ながら、「どうやったらうまく伝えることができるだろう?」と私も頭を抱えることがしばしばでした。
でも、そんな苦労のあった雑誌がとうとうできました。
びっくりしました。
これまで見たことがないような素敵なだったのです。
介護や医療に素人の方々が作った本だから、きちんと内容を伝えられないのではないか?という私の思い上がりが恥ずかしくなるような本でした。
まだ体験したことがないことだけど、一生懸命どうしたらいいのか?読者と一緒に考えようとする姿勢が伝わり、文章はもとより、写真やイラストなどすべてに思いやりが感じられる本当に素晴らしい本です。
正直頭を殴られたような感じがしました。
介護や在宅医療がわかった人が書いた本ではなく、まだ介護など体験したことがないライターの方や編集者たちが、自分たちがこれから直面する問題に、自分たち、そして読者のために、真摯に道しるべを探そうとする本だったからです。
本書は介護や医療のプロは決して作ることができない本です。
素人だからこそ、だからこそ自らの問題としてきちんと向き合って作った本なのです。
このような本の作成のお手伝いができたことをありがたく思っております。