顧客第一主義

今日、製薬企業の方々との交流があった。

その企業は、製薬企業として初めて在宅医療専門チームを作ったというのだ。

しかし社内では、薬を売ってなんぼという営業マンが多い中で、薬が売れない分野に営業する意義を説明することは難しい。社内を説得できなければ、対外的活動ができない。

だから思想的に、商品第一主義から顧客第一主義への転換が必要だという。

その話を聞いて、私も思った。

私たちも医療第一主義から患者第一主義への転換が必要だと。

顧客を幸せにする一つのアイテムとして医療があるのであって、もしほかに幸せにできるのであれば、あえて医療を否定する勇気を持つべきである。在宅医療はまさにそういう医療である。

顧客を増やしたものだけが、次の医療を作ることができるのだと。

二度目の家族会議

会議の趣旨がわからない父親がいきなり怒り出す。

「俺は老人ホームに入らないぞ。お前らの世話にもならない。」

 

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このところ急激に足腰の力が弱くなって、転倒を繰り返すようになった一人暮らしの父親の今後のことを相談するために、前回集まったのは、1カ月前のことだ。

 

メンバーは、私と家内、そして2人妹たちが集まった。その時に今後の方策を何パターンか検討して、一か月後に集まることとしていた。

 

一つ目は父親が安心できる有料老人ホームに入ること。

二つ目は実家を何らかの施設に変えることで、みんなが関わりやすくすること

3番目が実家を改築して誰かが同居すること。

だった。

 

一つ目については、父親に一度でいいからデイサービスでも試してみたらどうかと提案した。

そして2番目と3番目については、私が専門家に調査を依頼することで、資料を作ったうえで集まることとしたのだった。

そしてその調査結果が集まったので、再び家族会議が開催されたのだった。

 

後で相続で揉めないため。みんな知恵を出し合ったという過程を大事にするため。そのための検討をする必要があった。

そしてその結果を伝えながら、今後のことを生産的に進めるための会議だった。

 

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私はこんな仕事をしているだけに、多少わかっているつもりだった。

しかし親の心子知らず、子の心親知らず。になってしまった。

互助グループ

今日外来に30台の男性と40代の男性と60代の男性3人グループが来てくれた。

3人ともインフルエンザワクチンの接種希望で来院されたが、3人の男性が連れ立ってワクチン接種に訪れることは珍しい。

不思議に思って尋ねてみた。

「どういうお知り合いなのですか?」

「共同生活しています。」

「仲良しなのですね。」

「えぇ。でもそれだけではありません。私たちは薬物やアルコール依存者で、そこから離脱するための共同生活をしているんです。」

みなさん顔は温厚で、普通の紳士たちだ。

単にインフルエンザワクチン接種のためだけの触れ合いではあったけど、様々な人が助け合いながら、頑張りあいながら、生活しているのに触れることができて、私はとても幸せな気分になった。

 

 

看護だからできること。看護じゃなきゃできないこと。

本日は向山先生主催の第五回緩和ケアセミナーでした。今回で最後の緩和ケアセミナーの講師は白十字訪問看護ステーションの統括所長の秋山正子さん。

言わずと知れた訪問看護の立役者です。

彼女は常に患者さんの最も近くに居ようとしていました。

その結果が誰よりも影響力を持った看護師さんになったと、本日痛感しました。

参加者の方々に様々な学びがあった緩和ケアセミナーが本日終わりました。

 

参加者、主催者ともに、とてもインスパイヤされたセミナーでした。

参加くださったみなさん。ありがとうございました。

向山先生、本当にお疲れさまでした。