発信する在宅医療

今日私は、都市部の在宅医療を考えるシンポジウムに出席した。

 

副題としてリサーチマインドを持った総合診療委の養成というタイトルにもひかれたのだった。

 

20年前に在宅医療を始めたとき、「在宅は医療ではないんだ。マインドなんだよ。」と言っていた医師会の先輩の医師の言葉を思い出す。

当時在宅医療専門と言って、在宅医療にも専門性、医療的完成度が求められると言っていた私はよく揶揄されたものだった。

 

いつしか在宅医療をする医師も増え、医療機関も増えてきた。

 

いつしか点から、面へ。そして地域ぐるみの包括ケアシステムの中に在宅医療は位置づけられるようになってきた。

 

そして面の先に、発信性がある。そういう意味で今回のシンポジウムは画期的なものだ。

 

壇上には日本の高齢者医療、在宅医療をリードする大家が並ぶ。

 

それぞれの立場で今後の在宅医療の在り方を語られた。

 

さて、今後在宅医療におけるリサーチとは何があるのだろうか?

在宅医療が、日本の医学会にどんなメッセージを広げなければならないかという課題もある。

 

高齢者の代弁者として、在宅療養者の代弁者になれるかどうかがカギである。

長期療養医学、終末期療養医学、生活医学など様々な在宅医療からの発信が求められる時代と思われる次第である。1447572568669

灯台

私たちは何のために努力しているのだろうか?

 

これまで私たちは、ガン、非ガンに限らず、ターミナル期の生活支援をしてきた。

そして生活支援を仕切った証としての、在宅での看取りにこだわってきた。

 

そして今、私たちはガン、非ガンに限らず早期から支援する必要性を強く感じている。

行き当たりばったりの療養の結果ではなく、早期からの生活対応や療養支援があってこそ、尊厳を持った療養があり、生命予後が改善できることを知っているからだ。

 

外来に元気に通院できている間は、疾病管理や増悪予防が大事だろう。

そしてそのためには、単に治療的対応では済まない。多職種による集学的支援が大切だ。

もし虚弱化が進み、外来に来れなくなったら、できれば外来、必要時に往診、そして常時24時間電話での療養相談が必要だと思っている。

 

しかし生活支援はそこにとどまらない。

小児には小児なりの生活支援があり、女性には女性の、男性には男性の、成人には成人の生活支援があるはずだ。

 

 

もちろん何でもかんでも介入すべきだとは思っていない。しかしよりよく生活することで、人生をエンジョイしたいと思っている人が何も頼れないのは寂しい。

 

 

様々な年齢層、様々な疾病、様々な病状ごとに、多職種で生活支援をしていくこと。・・・・これこそが私たちの目指す、かかりつけ医療である。

 

そして、これこそが今後の慢性期疾患の時代の基本的視点であると、私たちは信じたい。

 

さながら漆黒の海を照らし、船を安全な航海に導く灯台のように

ボトックス

昨日はボトックス治療のための勉強会に当院のドクターたち5名で参加した。

ボツリヌス毒素はボツリヌス菌によって産生される毒素で、きわめて強い筋弛緩作用を持っている。この筋弛緩作用を利用して、様々な臨床応用がされており、痙性斜頸や眼瞼痙攣や顔面痙攣の治療などにも利用されている。

現在当院ではリハビリにも力を入れている。訪問診療の患者さんもそうだが、リハビリの患者さんには、脳血管障害の患者さんが少なくない。これらの方々の多くが痙縮による悩みを持っているのだ。着替えが大変。おむつ交換が大変。見た目が気になる。など様々だ。

これらの悩みに少しでも、改善できればと思っている。そこで、ボトックス治療をより有効に活用するために、みんなで勉強しようという意図で勉強会に参加した。

決して安い薬ではない。それほど重大な副作用はないが、何か所にも注射しなければならないし、その後のリハビリが重要になる。それでも生活改善ができる期待は大きい。

ぜひ活用したい。

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局所治療の可能性

小児科研修で。「モクモク」という聞きなれない言葉を聞いた。

モクモクというのは、吸入療法のことだ。

内科でも喘息の時にネブライザーを利用した吸入療法が取り入れられるが、小児科や耳鼻科では、より積極的に吸入療法が取り入れられているようだ。

確かに、咽頭炎や上気道炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などは、局所治療が好ましい。このような局所の治療を行うのに、全身投与の薬を使うよりは、局所治療をしていくことは理に適っている。

今後当院では、このような疾患の外来患者さんに積極的に吸入療法をしていくことを検討している。