PEACE研修会

私は本日、女子医大で開かれたPEACE研修会に朝から出席していた。

今回で3回目になる研修会。私は毎回、地域連携を担当するファシリテーターとして参加させていただいている。

私にとっても、大変有意義な学びの機会だ。1453007229507

今日は改めて、テキストのすごさを感じた。

テキストの中の一文を紹介しよう。

多くのがん医療にかかわる医療者に対して「忘れてはいけないこと。」として警鐘をならす。

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忘れてはいけないこと。

  • 家に帰れない患者はいない
  • 全ての患者が自宅に戻ることを希望しているわけではないが、自宅に帰りたいと希望する患者であれば全て在宅ケアに移行できる可能性がある
  • 医療者がバリアとならない
  • 医療者側で「退院できない」と判断するのではなく、「どうすれば自宅に帰すことができるだろうか?」とまず考えてみる

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父親の姿に学ぶ

本日の早朝のことである。

夜も0時を過ぎたときに私の携帯電話が鳴る。「ヘルパー会社のものですが、訪問したところ倒れていて、足を広げて動けなくなっています。」すっかり夢の中にいた私は、最初は患者さんのことかと思って、話を聞いたが、よく聞きなおしてみると、実家で一人暮らししている父親のことだった。

足を開いて動けなくなっている。・・・大たい骨頸部骨折?

まずは救急車を呼んで、救急病院に搬送してもらってから、対応しようと思ったが、その後到着した救急隊の評価では骨折ない。曲げ伸ばしもしっかりできるから、骨は折れていないという。

それならば、今晩は安静にしてもらって、午前中に家内に訪問してもらい。今後のことを組み立てることとした。

昼前に家内が訪問する。痛いところはないので、特に骨折などはなさそう。だがやはり歩けそうにない。本人は自宅でこのまま何とかやりくりつけたいらしい。すぐさまケアマネの手配で1日3回の訪問看護が導入になる。そしてすぐに緊急では入れるショートステイ先も手配してくれた。

 

 

昨年までは何とか外出もしていた。最近では家の中でも歩行がおぼつかなくなってきており、転倒を繰り返していた。そして立てなくなった。このような流れは遅かれ早かれ起こることが予想された。そういう父親の姿と、私が何百人、何千人とみてきた自宅療養された高齢者の姿と重なる。

 

しかし、いざ自分の身内のこととなると、わかっていてもできないもどかしさや、様々な葛藤があることを痛感する。それと同時に、ヘルパーやケアマネ、救急隊の方や家内など、様々な周囲の協力はなんとありがたいものかも感じることができた。

 

やはり、当事者は大変だったのだ。

自由になること

当院では今月から禁煙外来を始めることとなった。

トータル12週間、その間計4回通院し、ニコチン依存症から離脱するためのプログラムだ。ある一定の基準を満たせば、健康保険も適応になる。3割負担の患者さんで、おおよそ2万円の自己負担で禁煙が可能になるというのだ。

 

かく言う私も4年前まで1日30~40本と大量に喫煙していた。かれこれ30年以上の喫煙だ。

その間、何度も辞めようとして辞められなかった。むしろ、やめようとすればするほど喫煙本数が増えたことを思い出す。

 

最近、ニコチン依存症の機序も最近では明らかになっている。

脳内のニコチン受容体にニコチンが結合することでドパミンという快感をつかさどる物質の放出を促す。だからニコチンが快感になるという記憶と結びついて中毒化するというのだ。

 

そもそも人間の意思の力は悲しいほど弱い。このように脳の代謝的変化を生じているという中毒という症状から離脱するには、覚悟や強い意志は無力ではないが、まったく十分ではない。それを補うのが薬物治療だ。薬物により脳内の代謝を変化させながら、習慣の是正や油断に対する継続的努力が必要なのだ。

 

薬物治療と支持療法。そして本人の努力と周囲の協力。これらが相まって禁煙ができる。そうだとしたら、それこそが在宅医療が得意とする複合療法である。

 

禁煙にはドパミンが出ない。しかしドパミンなしだが自由で健康的な生活ができるのだ。

 

そうはいっても、そして今禁煙していても、私はかつて喫煙者だった。だから私はいつまでも禁煙者なのだと思っている。そしてまたいつしか再び煙草を咥えていないとは限らない。

 

いま、私は仲間でもある喫煙者にやさしい禁煙外来をしてみたいと思っている。

今年最初の小児科研修

今日は今年初めての小児科研修だった。

 

病院で長時間を過ごしていると、その病院のシステムを否応なく見ることができる。

 

業務システムや電子カルテシステム、研修のシステムや患者さんのフォローや地域連携のシステムなど、実際の稼働状況をみることができる。

もちろん今日は休日だから。

普段のうごきとは大きく異なっているのだが、それでもとても参考になる。

 

私にとって、小児科研修はもちろん小児医療の充実のための研修だが、そういう意味でも勉強になる研修である。

 

またさらに学ぶことがある。

休日の小児科診療がどれぐらい忙しいのか?ということである。

 

当地には大学病院をはじめとして、小児当直医療機関がたくさんある。だからなのだろうが、それほど忙しいわけではないのだ。

 

小児救急医療の地域ニーズを感じる次第である。